tips124 初めてのLightroom3(現像モジュール・実践編)
   

  フルサイズ、APS-C、ミラーレスデジタル一眼の登場など、目まぐるしい進化を遂げているデジタル一眼レフ業界。RAW撮影ニーズの高まりとともに、RAW現像ソフトも着々と改良が重ねられ、 オリジナルの画像を保持したまま、補正・編集することができる業界トップクラスのRAW現像ツールとして、定番のAdobe Lightroom3(以下、Lightroomと記述する)も確固たる地位を築いてきた。
 筆者もLightroomが登場以来、使い続けているユーザーのひとりであるが、正直なところRAW撮影ユーザーだけに使わせるにはもったいない。パソコンが一通り扱える人なら“少しのコツ”で十分使いこなすことは可能であり、JEPGユーザーにこそ使っていただきたいと思っている。

 ところが、巷では「高機能故にとっつきにくい」「平易な解説書がない」など、Lightroomの使い方やノウハウなどを求めるユーザーも少なくない。確かに近場の書店では、Lightroomの解説書すら目にすることもなく、ネットに救いを求めるにしても解説書の中身までは分からないというのが実態である。
 そこで、多くのリクエストにお答えして、Lightroomの初心者(JEPG)ユーザー向けに、最低限必要な知識やノウハウなどを複数回にわたり、独断と偏見ながら出来る限り平易な解説でご紹介しているところであるが、今回は、「現像モジュール」の2回目として現像処理の現場から、筆者のテクニックなども織り交ぜた実践編としてご紹介する。
 題して「現像モジュール(実践編)
 さて、いかが相成るや・・・(汗)


<はじめに>
 現像モジュールについては、前回、基本的な機能をご紹介する「機能編」としてご紹介したところであるが、写真の読み込みからライブラリモジュールを含めLightroomの操作やプロセス及び操作パネルなどについては、以下のtipsをご参照いただきたい。

 tips120 初めてのLightroom3(写真の読み込み編)
 tips121 初めてのLightroom3(ライブラリモジュール編)
 tips122 初めてのLightroom3(ライブラリモジュールの核心・実戦編)

 tips123 初めてのLightroom3(現像モジュール・機能編)


 
  現像モジュールの操作パネルとツール
 
A. プリセット、スナップショット、ヒストリー、コレクションの各パネル
B. ヒストグラム
C. RGB 値
D. ツールストリップ
E. 調整パネル
F. ナビゲーションズーム
G. ツールバー


<自動現像の勧め>
 最近では、RAW画像のファイルサイズが大きくなる傾向にあることから、従来「RAW+JEPG」で撮影していたものを「RAW」オンリーで撮影することを余儀なくされた諸兄もあろうかと思う。(筆者の場合はすべてRAW)
 これまでの繰り返しになるが、RAWデータをLightroomに読み込んだとしても未現像の状態ではJEPG画像のように「すっきりくっきり」とは見えない。(生画像だから無理もないが・・・)
 そこでご紹介するのが、読み込み時における写真への現像設定の適用である。
 写真の読み込み時に、現像設定プリセット(自動現像のパターン)を適用させることで自動現像させるという、いわば「RAW版デジカメde同時プリント」だといえよう。

 現像設定プリセットについては、現像モジュール・機能編でもご紹介したようにLightroomにもいくつか搭載されている。なかでもお勧めするのが「自動階調」である。
 カメラの特性やプラス補正を多用した場合など、時に明らかな露出オーバーとなるが場合もあるが、極端なアンダーなど撮影された画像をベストな諧調で仕上げてくれるため、読み込み「即」ほぼベストな状態が再現されるといって過言ではない。
 反面、決め細やかな露出補正が自動諧調によって区別がつかなくなる(画面上まったく同じ仕上がり状態となる)などの欠点もなくはないが、「初期化」ボタンを押せばオリジナルの状態の戻るので心配には及ばない。
 その場合、撮影時の(露出補正値を含め)データはライブラリの画面で(右パネルの)メタデータ欄から「Exif」を選んでおけば露出補正量が表示されるので、「自動諧調」で読み込んだとしてもそのデータを見ながら「初期化」し、現像作業に移ればかなりの時間短縮になる。
 なお、JEPGデータの場合には、既にカメラの中で自動的に現像されている完成品であることから、「ゼロ設定」を選択しオリジナルのまま読み込みするのが定石であるので念のため。

 現像設定プリセットの選択は、読み込みウィンドウの右側の適用パネルで、現像設定メニューから設定する。

   
  現像設定窓  
     
 現像モジュールのプリセットパネルには、初期設定のプリセットがあらかじめ用意されている。
 (Lightroom プリセットフォルダーをクリックすると、初期設定のプリセットが表示される)

 プリセットを適用した結果の写真をプレビューで確認するには、プリセットパネル内で目的のプリセットの上にポインターを移動させる。すると適用後のプレビューがナビゲーターパネルに表示される。
 プリセットを写真に適用するには、プリセットパネル内で目的のプリセットをクリックする。
 なお、この現像プリセットであるが、写真を読み込む際に選択できる現像設定のリストにも表示されるので、「目的のプリセットを選ぶことで読み込む全ての写真に設定が適用される」いわゆる自動現像機能として、利用価値は非常に大きく、特に初心者ユーザーにはお薦めの機能である。
  内蔵されている主なプリセット    


<色の再現は「彩度」に頼るな>
 これまで、現像は「すべてが正解」と事あるごとに申し上げてきた。それは撮影者のイメージが最優先されるからである。
 過去の経験も含め、現像やレタッチについては、とかく彩度やレベル補正に頼りがち傾向が強い。なるほどイメージは再現しやすいが、結果として平面的な仕上がりに終始。反面、写真本来の「光と影」が表現できないといったジレンマにさいなまれてきたのも事実。
 Lightroom初心者ならばなおのこと、機能が多いうえに言葉が難しいとくれば日頃親しんできた調整方法に頼りたくなるのも事実であろう。


<鍵を握る「ライト」と「ダーク」>
 現像モジュールには、写真の表示用と編集用の2組のパネルとツールバーが用意されている。
 画面の左側には、ナビゲーター、プリセット、スナップショット、ヒストリーおよびコレクションの各パネルがあり、これらのパネルで写真に対する補正内容をプレビュー、保存および選択できる。
 また、パネルの右側には、写真を全体的および部分的に補正するためのツールとパネルがあり、ツールバーには、補正前と補正後の画像を切り替えたり、クイックスライドショーを再生したり、ズームなどのタスクを実行するためのコントロールが搭載されている。

 
  トーンカーブの操作パネル

 カーブの修正に一定の法則が見出せず、日頃何気なく見過ごしてきたトーンカーブ。使用したところでせいぜいが「リニア
(調整無し)」「コントラスト(中)」、「コントラスト(高)」の変更程度。ところが、このトーンカーブを構成する4つのスライダ(「ハイライト」「ライト」「ダーク」「シャドウ」)。とりわけ「ライト」と「ダーク」が重要な鍵を握っているのである。
 従前の「彩度やレベル補正」を中心とした、いわゆる色を意識した手法から、4つのスライダを使って光をコントロールすることで(結果として)色を浮き上がらせようとする手法への発想の転換である。

 その方法とは・・・。
 以下、筆者究極のテクニックの中からご紹介しよう。


<基本は露出補正>
 前段階としてヒストグラムを注視することから作業は始まる。
 ヒストグラムの分布に偏りがあっては適正な現像は行えないので、先ずは露光量スライダで、ヒストグラムの分布を中央付近に配置されるように調整する。この場合、中央付近に持ってくるのは山のピークではなく、山の全体のバランスが中央付近に分布するように心がけたい。

  ヒストグラムのパネル


<光のコントロールで彩を際立たせる>
 画像の変化とヒストグラムの分布を注視しながら、トーンカーブの4つのスライダのうち「ライト」を右方向へ「ダーク」を左方向へと
(一対で)バランスをとりながら移動(微調整)させていく。
 「ライト」と「ダーク」のそれなりのバランス
(判断は作者自身のイメージ)が決まれば、「シャドウ」で暗部を引き締め「ハイライト」で輝きに隠し味をつける。

 なお、ヒストグラムの山が右端
(黒)あるいは左端(白)に突き当たると(山が潰れ)バランスを崩すので、多少空間を空けるつもりで「控え目に」がコツ。調整の過程で「黒つぶれ」や「白飛び」が発生すれば、直ちにヒストグラムが知らせてくれるマークが出る)ので常に注視を心掛けていただきたい。
 ちなみに、マークを押すと「メインウインドウ」の画像上に、黒つぶれ若しくは白飛び個所を示してくれる。


<白飛びには白とび軽減スライダ>
 調整の過程で全体の輝度を保ちたいがために、ときに部分的ながら白飛びが発生することも少なくない。そこで登場するのが白とび軽減スライダである。
 ハイライトが強すぎる箇所の階調を軟調化し、露光オーバーで失われたハイライト部のディテールを可能な限り再現させてくれる。
 常時使用するものではないものの、微妙なニュアンスを調整するにはもってこいの機能であり、引き出しのひとつとして覚えておいて損はない。

 
  基本補正の操作パネル


<ハイキー処理には補助光効果>
 よくマクロレンズで花などを撮影する場合、その優雅な美しさを表現するための手法としてハイキー(淡く透き通るような感じ)に仕上げることが多い。しかし、直接明るさをコントロールしようとすると、全体が明るく(色が薄く)なりすぎてしまう。
 そんな場合には「補助光効果」スライダを利用するのがベスト。スライダを右方向に移動させるにつれ、淡いハイキーな画像へと変化していくのを実感していただけると思う。


<色相、輝度の微調整は、HSLカラーのターゲットグループボタン>

 ほぼ、自分のイメージどおりに仕上がった。しかし、もう少し追い込み(隠し味を表現し)たいこともあろう。
 その場合には、HSLカラーのターゲットグループボタン
(スライダを直接いじるのではなく、必要な色域を連続的に可変させることが出来る)を使うのもひとつである。「微妙に色のイメージが自分に合わない」のであれば「色相」を。「微妙な輝きをもたせたい」とのであれば「輝度」に切り替えて、任意の個所を微調整する。
 なお、あえて「彩度を・・・」と表現しなかったのは、あくまでもトーンカーブが前提。「
(彩度を)直接コントロールするのではなく、間接的に(彩度を)浮かび上がらせる」という筆者のポリシー(作品への想い)だとご理解いただければ幸いである。

 ターゲットグループボタンの操作方法は、パネルの左上にあるターゲット調整ツールをクリックし、調整したい色域
(写真上の調整対象の位置)にマウスポインターを置いて、マウスボタンをクリックしながらドラッグさせ、イメージを確認しながら補正を行う。そして、最後に完了ボタンを押して処理を終了する。
 なお、調整に際しては、作者のイメージによるところが多く、「大きく変化させるというよりは微妙に調整する」といった表現が適当だということを申し添えておきたい。

   
  HSL/カラーの操作パネル  


<明瞭度は高品位なシャープフィルタ>
 読んで字のごとく、スライダを右に移動させるにつれてシャープフィルタが施されたかのように明瞭度が上がっていく。
 解説書の類を見ても、何処にも記載されていないのが不思議
(というよりも読んで字のごとく当たり前だから書かなかったのか?)であるが、隠し味として使わない手はない。
 図柄が小さい
(いわゆる遠景など)場合には、画面を引き締めるために効果的であるが、大きい図柄(花のアップなど)では、リアルになりかねない。また、大きく変化させることで画像のエッジ付近にハロ(画像の周りに見られる光の縁取りのような現象のこと)が現れるため、不自然きわまりない画像となってしまうこともある。あくまでも微調整でと申し上げておきたい。

 機能編で述べたように、設定を使用するときは、100% 以上の倍率までズームインすることとし、画像のエッジ付近にハロ
(画像の周りに見られる光の縁取りのような現象のこと)が現れるまで設定を上げてから設定を下げていくなども一つの調教方法ではなかろうか。
 作品は自然に仕上げて
“なんぼ”である。(筆者の)調教法をご紹介するならば、+30くらいを一つの目安と考えている。(但し、写真のシャープネス補正は使わないことを条件として)
 これとは逆に、スライダを左に移動させていくと、ソフトフィルターが施されたかのような効果が生まれるので、これも一つの手法として思えておいて損はなかろう。

 
  外観操作パネル


<部分補正には段階フィルター>
 現像モジュールの調整パネルの調整を行っても、写真全体のカラーやトーンを補正できるが、補正を写真全体に適用したくない場合もある。風景写真で空の青さを強調したり、グラデーション効果を表現したい。また、周囲限定ではあるが「焼き込み」などを行いたい場合も少なくない。このように写真の特定の領域だけを補正したい場合に効果を発揮するのが段階フィルターツールである。
 段階フィルターツールでは、露光量、明瞭度、明るさなどの階調調整を写真の特定領域に段階的に適用できるだけでなく、適用領域は自由に広げたり狭めたりすることができるため、筆者の作品作りにはなくてはならないツールとなっている。
 なお、段階フィルターは水平線が多少斜めに撮影されたとしても効果は発揮できるが、最大限の効果を得るためには「水平線は水平に撮影する」を心がけておいていただきたい。

 
  段階フィルター適用例


 操作方法は機能編にも記述しているが、現像モジュールのツールストリップで段階フィルターツールを選択する事から始まる。
 この機能を使って、筆者が多用するテクニックが焼き込みである。

【例:写真上部から中央部にかけて効果を施したい場合】
 画像上部中央の枠外からマウスをドラッグさせて中央部まで範囲指定する。そのとき中央分の中心にピンと呼ばれる丸いマークが現れる。
(これをドラッグさせて範囲を可変させることも可能)
 その後、露光量スライダをマイナス側に移動させ、効果の度合いを確認するのである。

 
  段階フィルタ適用例

 アドバイスとして、スライダは大きく変化させるのではなく、あくまでも微小の単位で使用すること。ケースによっては段階フィルターを数度重ね合わせることで微妙なトーンを表現することも可能である。
 要は、後から画像に手を加えたと疑われない自然な仕上がりにすることがポイントである。

 もうひとつ付け加えるとするならば、段階フィルターは周囲から中央部にかけて効果をもたらしてくれるので、
(例えば)中央部を残して周囲を暗く焼きこみたい場合には、上下左右や斜めなど四方八方から効果を施すことで効果的な作品に仕上げることもできる。これも覚えておいて損はないテクニックである。

 
段階フィルタ操作パネル
 
<操作の方法>
 1. 現像モジュールのツールストリップで、段階フィルターツール を選択
 2. 効果ポップアップメニューで、補正の種類を選択

  ◆露光量 画像全体の明るさを設定(値が高くなるほど、明るくなる)
  ◆明るさ 画像の明るさを調整
(主に中間調で効果が現れる)
  ◆コントラスト 画像のコントラストを調整
(主に中間調で効果が現れる)
  ◆彩度 色の鮮やかさや純度を変更
  ◆明瞭度 部分的なコントラストを増やして画像の奥行きを強調
  ◆シャープ 写真のエッジの鮮明度を強調して細部を際立たせる
(負の値を指定すると細部がぼやける)
  ◆カラー 選択した領域に色かぶり補正を適用。カラースウォッチをクリックして色相を選択
 3. 各効果のスライダーをドラッグして値を増減
 4.
5. 効果を適用するには、写真内をドラッグする
   最初の適用ポイントにピン が表示され、マスクモードが「編集」に変わる



<カラーマネジメントの相違>
 これまで何度なくカラーマネジメントについて申し上げてきた。
 AdodeRGBで撮影した画像をLightroomに取り込み、色空間が最も広いとされるProPhotoRGBで現像・管理される。
 印刷は、ProPhotoRGBのまま行うので裏切られることはないが、Webギャラリーとしてファイル出力する際に(ProPhotoRGBの効果を最大限生かした形で)sRGBに変換される。これをブラウザで見たときの「がっかり」感を体験された諸兄も少なくないであろう。
 Lightroomでの色空間(ProPhotoRGBの効果)を最大限生かした形でsRGBに変換されるのであるが、色合いによっては浅く(薄く)感じる場合も少なくない。そこで、ひとつの方法として、自然な彩度やコントラストを利用して多少なりとも「どぎつく」調整してファイル出力するのである。こうすることで多少なりとも色合い・メリハリとも向上させることは可能である。(サジ加減は作者に委ねるが)
 なお、ファイル出力後は現像モジュールの履歴で「どぎつく」調整する前の状態に戻しておくことをお忘れなく。

 
  Webギャラリー出力例


<おわりに>
 今回ご紹介した実践テクニックは、全て筆者のよりどころとするものであり、ここに掲げたプロセスやテクニックによって、平素から作品づくりを行っているところである。
 しかし、いずれのプロセスについても言えることであるが、効果のサジ加減については作者のイメージ
(仕上げ最終目標)によるものが多く、一概に「こうしたら」というのはなかなか言えないのである。すべてが正解だと申し上げているのはこの点からなのである。
 近くの方であれば直接教示するのが一番であろうが、なかなかそうもいかない。実際にLightroomをお使いの方でご不明な点等があれば、お気軽 メール でお問い合わせいただければ、分かる範囲ながらお答えさせていただく。
 皆さんからお訪ねいただくことが、今後のLightroomのtipsが充実していくことにつながり筆者も勉強していければと考えている。

 成功へのヒントは、調整は「大幅」でなく「微小」を基本に、じっくり追い込んでいくことが作品への近道であることは間違いないので、自分を信じて作品作りにいそしんでいただきたいものである。
 本稿が、「Lightroom」でRAW現像
(JEPG画像を含め)を目指される諸兄への一助となれば幸いである。